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ジャズ専門誌All About Jazz(オンライン版)
みとゆか アルバム「タイム・アフター・タイム」評論記事
エドワード・ブランコ著
みとゆかの2作目ソロアルバム「タイム・アフター・タイム」は、往年のスタンダードに新しい光を与えた。様々な歌手が歌ってきた「グレート・アメリカン・ソングブック」からの曲に加え、3曲のポップス、そしてオリジナル曲を含めたこのアルバムは、ジャズを愛する日本人歌手による、実に趣味のいい作品だ。みとは現在 ニューヨークに拠点をおき、東京とニューヨークのジャズシーンでライブ活動を行っている。強い中低音がきいた声とわずかなの訛が、このアルバムをさらにユニークなものにしている。
ラテン・ジャズ・ピアニスト 中井知恵美が、アルバムの題名曲「タイム・アフター・タイム」、デューク・エリントンの「キャラバン」、「シング・シング・シング~スウィングしなけりゃ意味がない」メドレーの編曲を担当。ピアニスト アレン・ファーンハムがその他の曲の編曲、そして演奏を担当した。アルバムは、燃えるような演奏のアーヴィング・バーリン作曲「チーク・トゥ・チーク」で始まる。みとの勢いのある声と、バンド ベーシスト ディーン・ジョンソン、ドラマー ティム・ホーナーの感情のこもった演奏が、アルバムを完全なものにしている。ファーハム(p)の素晴らしい編曲 ネッド・ワシントン作曲「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」では、予期もしない、でも上手くハマったスキャットとピアノソロが聴ける。
みとの感情のこもった表現が、聴き古した「バイ・バイ・ブラックバード」やディーク・エリントンの「サテン・ドール」、永遠の名曲「ボディー・アンド・ソウル」を新鮮で新しいものにしている。また、もう2曲のスタンダード「イマジネーション」「You’d Be So Nice To Come Home To」も、みとのスタイリッシュで個性的な演出が楽しめ、ジョン・レノンの「イマジン」では、ファーンハム(p)とジョンソン(b)の即興が変化させたメロディーに上手く絡み合っている。
他2曲のポップス ジョージ・ハリソンの「サムシング」とシンディー・ローパーの「タイム・アフター・タイム」も、みとの魅力にはまっている。みとは、エラ・フィッツジェラルド、アニタ・オデイ、カーメン・マクラエ、そしてその他のジャズシンガーから大きな影響を受け、2005年に「コール・ポーター ~ ラテン・グルーブ」をレコーディング。これは未公開だったため、今回のアルバムが実質のデビュー作となる。未知の日本人歌手は、このジャズ・スタンダード曲集を生み出すことで、彼女の立ち位置を変えようとしている。
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